汗とお金と人
ここは、東京の下町墨田区である。都心からわずか数キロという場所にあり、下町情緒残る街だ。ここは江戸時代から地場産業が栄え、メリヤス、油脂、革、金属などの製造業が所狭しと並んでいる。ここの街を自転車でこぎ回れば20分近くで横断できるほどの敷地面積しかないそんな場所に3000もの町工場が存在している。
歩けば、●●製作所、●●油脂、石けんの香りがほのかに香る。プレス機ならではの重厚感あふれる金属音。墨田を歩けばすぐにそんな場所に出会える。そんな街にある工場もリーマンショック、中国の台頭により、頭を悩ませている。そんな下町の町工場が今何を考えているのか、それを伝えたいと思う。
僕が初めてであった町工場は「うちらは人情主義だからねー」と笑いながら話すねじ屋さんでした。
単価が少しでも高いところと取引するのが当たり前というのが定説だと思うのだが、彼は違った。とても印象的だった。「ビジネスとしてはまずいんだけどね。でも今のお客様をないがしろにまで、お金欲しくないんだよ。だから、儲からないだけどね。」と一点の曇りなく、笑いながら話す。ロジックとかそういう概念で仕事してるわけでない。と痛烈に感じた。
人とものでビジネスをしているのではなく、人と人でビジネスしている。だからこそ、彼は生き生きしていて、一点の曇りもなく笑えるのだろうと思った。
まだ残暑残る9月初旬、墨田の夏は終わらない。
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