エンターテイメントを活用して技術を普及させる Team Skeletonics
2mの搭乗型ロボットが動く映像がニコニコ動画やYouTubeを通じ世界中で大きな話題となっている。幕張メッセで開催された超巨大フェスイベント「ニコニコ超会議」にも登壇し、人々を興奮させたのは、沖縄高専の学生が立ち上げ、現在東京大学,東京工業大学,首都大学東京,沖縄高専に通いながら起業準備中の「Team Skeletoncs」だ。確かな技術力とユニークな切り口から、技術の発展に貢献することを目指している。
機構の力を最大限に活用する
スケルトニクスとは骨格「Skeleton」と構造「Mechanics」を組み合わせた造語である。彼らが開発した、腕や脚の動きに追従して動く外骨格ロボットは、まさに1989年原作で近未来の21世紀を描いたSFアニメ「攻殻機動隊」に登場するアームスーツの風貌さながらだ。その特徴は、すべての駆動をリンク機構により制御し、一切のパワーアシストを行っていない点にある。「多少の負荷ならば、頑張れば動かせます」。近年モータ駆動を制御して作動するサーボ機構が発達し、非常に複雑な動きを制御可能とする一方で、重量、コスト、不具合発生が増加する傾向にある。だからこそ、シンプルな機構にこだわることが、安価で故障の少ないロボットを開発することにつながったのだ。
エンターテイメントの世界から新技術を普及させる
彼らが得意とするリンク機構は人の動作に忠実に追従する。動作に連動してモータを動かし、人の負荷を軽減させるパワーアシストは、工場における重量物の操作や組立など産業分野での作業や、介護やリハビリなどの福祉分野での支援に欠かせない技術である。彼らもまた要素技術としてパワーアシストの製品を開発しているが、実用化を目指した開発ではなく、「手でつまむ力を30倍に増幅し、スチール缶を簡単に握りつぶせる」といった、魅せる技術と位置づけた開発を行っている。映画の試写会やテレビなど、エンターテイメントの世界で活用できるプロトタイプを製作し、人々の注目を集めることで技術の普及を推進することを狙っているのだ。
技術力と情報発信力を併せ持つ
そもそもTeam Skeletonicsは、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(通称:高専ロボコン)で優勝した沖縄工業高等専門学校を卒業したメンバーが中心。10代の頃から機械に囲まれ、お金のない中で学校に捨てられた廃材を使ってロボットを作る日々を送った。その泥臭いモノづくりに関する経験を土台に、学校で学んだ先進的な知識を生かした開発を行う。その上で、YouTubeなどソーシャルメディアを活用できるデジタルネイティブ世代の感性も併せ持つ。「アニメに出てくるような変形するロボットに乗ってみたい」。少年のような笑顔で語る彼らの夢と情熱が、新しい技術を普及させるカギとなるかもしれない。
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