クラウドファンディングで 1700万円の資金を調達する方法

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機楽株式会社 代表取締役 石渡 昌太 さん

組み立て式ロボットの開発をテーマに、アメリカのクラウドファンディングサービス「Kickstarter(キックス ターター)」を用いて 7 万 5 千ポンド ( 約 1150 万円)を調達し、国内を含めると約 1700 万円の開発資金を集め た機楽株式会社。同社が世界でも注目を集めるほどの成功を収めたその秘訣に迫る。

拡張性のある組み立て式ロボット「RAPIRO(ラピロ)」

3D プリンタによる試作

3D プリンタによる試作

同社が開発した「ラピロ」は、全身に12のサーボモータを搭載し、それを制御する基板が付属した、ロボット組み立てキットだ。2足歩行や道具の保持など、様々な動きができ、従来15万円程度だったロボットキットを約4分の1の価格に抑えた。さらに特徴的な点は、現在世界的に注目されている「RaspberryPi(ラズベリーパイ。以 下RP)」をロボット頭部に組み込めるデザインにしてあることだ。RPは、名刺サイズのオンボードコンピュータである。これを搭載可能としたことで、ユーザーはRPを追加購入 すれば、映像や音声の入出力やインターネット接続をはじめ、様々な機能をラピロに追加することができる。ユーザーの想像力を刺激する様々な仕掛けの結果、ラピロは世界中から注目を集め、組み立て式ロボットとしては日本最高額の資金調達に成功した。

キックスターターでの成功を目標にした製品開発

頭部には RP の組み込みが可能

頭部には RP の組み込みが可能

「このプロジェクトは、もともとキックスターターで資金調達できるものを作るにはどうしたらいいか、という観点からスタートしたんです」。代表取締役の石渡さんは語る。ちょうど1年ほど前、RPの販売が開始され、その可能性の高さから世界的な話題となり100万台が売れた。さらに別の話題として3Dプリンタにも世界の注目は集まっていた。「人の興味がそこにある。それならば、この2つのツールを使った製品を開発すれば、キックスターターで資金が集まるのではないかと考えたんです」。そこで、3Dプリンタを使ってRPを搭載可能なロボットを試作する、というプロジェクトを立ち上げた。

リスクヘッジとしてのコラボレーション~クラウドファンディング時代の開発手法~

ラピロの開発には、機楽以外にも3社が関わっている。3Dプリンタでの試作を担当した株式会社JMC、基板設計製造を担当した株式会社スイッチサイエンス、金型製造を担当する町工場の株式会社ミヨシの3社。実際に石渡 さんがプロジェクトの想いを伝え、それに共感してくれたパートナーだ。「開発しても売れなければ意味がない。そのためには、開発段階から売ることまで考えたチーム作りが重要です。クラウドファンディングを利用して資金調達を行う場合、最終的な調達金額は予測できませんから、いきなり人を雇うことはできません。さらに金型やプロモーションなど、実際に目標を達成した際にはすぐに販売をスタートできる体制が不可欠ですが、そこを自社のみで進めることは難しい」。ラピロ開発チームにおいては、3Dプリンタの試作造形をJMCが担い、基板の設計製造をスイッチサイエンスが担い、量産時に必要となる金型製作と射出成形をミヨシが担っている。試作品開発やその後の販売において必要な人的、製造的コストを1社で抱え込むのではなく、得意分野に応じて分担するリスクヘッジとしてのコラボレーションが重要だと石渡さんは語る。

とりあえずやってみる、では上手くいかない

国内でも少しずつクラウドファンディングが注目されるようになった現在、“とりあえず出してみよう”、という雰囲気があるが、それは危険だと石渡さんは警告する。「しっかりとした計画を立てなければ、絶対に売れません。ラピロの場合も、最初に関わるすべての会社に利益が出るラインとして1200万円という売上の目標を立て、クラウドファンディングによる資金調達で最低でも300万円という金額を超えなければ製造を行わない、という基準を設けてスタートしました」。 実際、機楽がラピロの前に挑戦した製品は、ラピロの5倍以上もメディアに取り上げられる話題性がありながら、集まった資金は170万円程度。目標であった金額に届かず開発をストップしている。 1700万円の資金を調達したという情報は、多くの人に「成功」というイメージを植え付けた。しかしながら、製造業においてそこから生まれる実際の利益は微々たるものだ。すでに海外では、米国ベンチャー企業OUYA社がキックスターターで800万ドルの資金を調達した家庭用ゲーム機「OUYA」がアマゾンでも販売されるなど、資金調達後のビジネス展開まで進んでいる事例も出始めている。クラウドファンディングを活用することで、自らのアイデアを世界へと広げるチャンスはすでに私たちの手に届くところまできているのだ。

機楽株式会社 代表取締役 石渡 昌太 さん

機楽株式会社 代表取締役 石渡 昌太 さん

機楽株式会社

 

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